みんなでワクワクするまちづくり!「グッド・アンセスター」をめざして!
令和4(2022)年度の施政方針演説を行いました。未来への責任を強く意識し、「長期思考」に基づく持続可能なまちづくりを進めたい。多様な人材のクロスオーバーによる「共創」を促していきたい。そして、このまちに関わるすべての皆さんが生きやすい地域社会をつくっていきたい。そうした思いを込めています。
なお、この演説の内容は当初予算案などに反映しています。以下、全文を掲載します。まちづくり全てなので長文になりますが、皆さんの実生活に必ずどこかがつながりますので、ぜひご一読ください。
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◎令和4(2022)年度施政方針
1.はじめに
私たち先行世代は、私たちが享受している現在の社会よりもよき社会を、より豊かな社会を、子どもたちや孫たち、さらにはその先の世代につないでいく責任がある。
私がいつも大切にしている考えです。長期的視点を持って、次の世代、未来の世代のために、何を為すべきか。現在の私たちの選択が、未来の世代を犠牲とすることがないよう、賢明さとは何か、追い求めたい。この国が少子化と超高齢化による人口減少社会に突入しているからこそ、この世界が環境破壊による気候変動に代表されるように人類の活動が地球を危機に追い込んでいる「人新世」と呼ばれる時代だからこそ、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックという未曽有の事態に直面しているからこそ、この原点に立ち返りたいと思います。
『グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか』。イギリスの文化思想家、ローマン・クルツナリック氏がパンデミック直前に著した書物の邦訳版が、昨年9月に出版されました。「私たちは未来を植民地化してきたのだ」。序盤に出てくるこの言葉にハッとさせられます。「まだ生まれていない明日の世代が、この植民地主義者による彼らの未来の略奪に対して何もなす術がないのは、悲劇としか言いようがない」。
クルツナリック氏は、短期主義的になってしまう人間の本質を突いたうえで、長期思考による具体的な行動を促します。人類の歴史を紐解くと、長期思考に基づく様々なプロジェクトを見出すことができます。例えば、スペイン・バルセロナにあり、福岡県出身の外尾悦郎氏が主任彫刻家を務めるガウディのサグラダ・ファミリア教会は、1882年に着工し、144年後の2026年に完成する予定です。スコットランドのアーティスト、ケイティ・パターソン氏が手掛ける「未来図書館」には、2014年から100年間、毎年、著名な作家の書いた新作が未読のまま預けられ、これらの書籍は、ノルウェー・オスロ郊外に特別に植えられた1000本の木から作られた紙に印刷され、2114年に出版されます。自分自身が生きている間に結果は見えない。けれども、「個人の人生を超えた時間軸」で捉え、動く。それはなぜなのか。社会の持続可能性を高めていくため、私たちがどのような思考を持つべきか、学ばされます。また、クルツナリック氏は「目先の政治的利益や決定を優先し、将来世代よりも現在世代を優遇するような偏り」を「現在主義政治」として課題を分析し、新たな民主主義のあり方も提起しています。謙虚に受け止め、思考しなければならないと痛感しました。
未来への責任を果たすためには、時代の要請を捉え、社会全体がこれを意識しなければなりません。そのうえで「私たち」の具体的な行動が問われています。「グッド・アンセスター、よき祖先になるためには、『どうやって<私>が変化をもたらすか』ではなく『どうやって<私たち>が変化をもたらすか』が重要な問題となる」。その「私たち」に最も近い地方自治体には、これまでよりも一層重い責務が課せられていると、私は理解しています。
2.クロスオーバーによる「共創」
近年、時代の変化がとても速くなっています。そのうえ、この2年余りの新型コロナウイルス感染症との対峙はその流れを加速させています。この状況を的確に捉えなければ、直近の私たちの生活の向上はもとより、次世代に責任ある形でこのまちを未来につないでいくことはできません。
古賀市は時代の変化に即応し、まちづくりを進めています。キーワードはクロスオーバーです。市内外の多様な人材が出会い、交流すること、共に歩むことで、それぞれの経験に基づく感性や知見、技術などが交差し、「掛け算」が起き、新たな価値が創出される。「共創」が、私たちの地域社会の未来を拓いていく。今、そのための「場づくり」が求められていると考えており、まちづくりの様々な場面でこれを強く意識し、取り組んでいきます。
3.中心市街地の活性化は新たなフェーズへ
令和4年度、まちづくりの「1丁目1番地」に位置付けるJR古賀駅周辺の活性化は具体策をさらに推進し、私たちの地球の持続可能性を高めるための脱炭素社会に向けたプロジェクトや生涯学習・文化芸術の振興も視野に入れた新たな段階に入ります。
東口周辺地区については、令和元年11月の最大地権者であるニビシ醤油株式会社との開発に向けた協力協定の締結以来、着実に取組を進めており、まちづくりの基本的な方向性を整理したまちづくり基本計画を策定したうえで、昨年12月に整備基本計画をまとめ、令和4年度中に都市計画道路や用途地域などの都市計画決定をめざします。あわせて、ウォーカブルで暮らしやすい、居心地の良い空間形成に向けて、駅前のシンボルとなる都市公園や駅舎に接続する自由通路橋、東口周辺の道路などの基本設計を進め、令和7年度の整備工事着手をめざします。市民の皆さまと共にめざすべきまちのあり方を考えるワークショップも開催します。
さらに、東口周辺地区が全体として活性化するためには、これらの開発とリーパスプラザこがの生涯学習ゾーンの価値を高める取組の連動が重要です。現在の社会教育法に基づく中央公民館から劇場、音楽堂等の活性化に関する法律に基づく市民ホールとすることなどを検討するためのサウンディング調査を実施します。
そして、この地区を舞台として、「ゼロカーボンシティ宣言」の具体化に着手します。国が少なくとも全国100か所を選定する脱炭素先行地域となるため、再生可能エネルギー導入調査を実施し、令和4年度中の地域指定をめざします。
私たちはこうした動きに先行して、西口エリアの本質的な再生も着実に進めてきました。この間、市民の皆さまの力を得て旧ダンス教室をリノベーションしたシェアスタジオの誕生や、古賀竟成館高校の生徒たちによる空き店舗を活用したイベントなどでにぎわいが生み出されています。そして、これまで事業者や地域の方々とのミーティングを積み重ね作り上げた活性化ビジョンに基づき活動する「まちづくり団体」が立ち上がりました。令和4年度は、まちづくり団体の活動拠点の整備とあわせ、古賀市の地域特性を捉えた戦略に基づき魅力ある店舗を最適に配置する「テナントミックス」の展開を支援することで、若い世代を中心とした多様な人材の交流をさらに促進し、このまちで働くことや暮らすことの価値を高める場づくりをめざします。あわせて、起業や創業の際の店舗のリノベーションを支援していきます。さらに、行政や有識者、地域住民など多様な関係者で構成する「エリアプラットフォーム」を立ち上げ、魅力や価値のさらなる向上を図るとともに、西口駅前広場の整備に向けた検討を行います。
4.新たな時代の価値観を捉えた産業振興
昨秋、古賀市の重要な地域資源である薬王寺温泉を生かした新たなビジネス拠点としてインキュベーション施設「快生館」がスタートしました。コロナ禍による働き方の価値観の変容を捉え、サテライトオフィスやコワーキングスペースなどを整備した施設は、九州を中心に各地で地域活性化に取り組む多くの人に注目され、企業進出も始まり、クロスオーバーの拠点としての活用が始まっています。国や県からも大きな期待と支援をいただいています。薬王寺地域の唯一の旅館である鬼王荘の新たな事業展開にもつながり、古賀駅西口の本質的再生のプロジェクトとも連動し、コロナ禍のピンチをチャンスに変える地域振興の転機になりました。令和4年度は、岸田文雄政権が重要政策として打ち出している「デジタル田園都市国家構想」を推進する交付金も活用しながら、運営企業や進出企業などの多くの主体と連携し、地域課題解決をテーマにしたワーケーションプログラムや企業合宿、起業家育成のためのセミナー開催、多様な人材のネットワーク形成、情報発信の強化などを図り、進出企業の定着や地域活性化を推進します。
古賀グリーンパークとその周辺では、株式会社ピエトロとの新工場建設に向けた協定締結により、体験や見学などの「コト消費」の視点を取り入れた企業立地に向けて大きく前進しました。地産地消の拠点であるコスモス館の運営改善も図られてきており、観光・物産・情報発信機能の強化に向けた取組をさらに進めていきます。SNSなど様々なメディアを活用した観光プロモーションに加え、地域おこし協力隊による観光に特化した情報発信を本格化させます。福岡県東京事務所と連携して首都圏における市の魅力ある特産品のPRなどを強化します。工業団地の約20年ぶりの拡張となる今在家地区の区画整理と企業立地、青柳大内田地区や青柳釜田地区における地区計画の設定、新原高木地区の開発に向けた地元協議を進めます。新型コロナウイルス感染症の影響で依然として地元事業者が厳しい状況にあるなか、新たに商工会によるプレミアム付き電子地域振興券発行事業を支援します。ふるさと応援寄附事業の取組を強化するため、寄附行為から返礼品受け取りまで一括で可能となる自動販売機を多くの市外の方が訪れる場所を市内で選定し設置します。
農業振興策として新たに導入したクラウドファンディングで、農業体験をエンターテインメントとして提供する観光農園の開設を後押しし、古賀産農産物のブランド力向上を図ります。地域おこし協力隊を活用し、「農村加工所まんま実~や」などの農産加工技術の継承、新たな加工品開発に取り組みます。園芸農業における機械設備の導入支援、薦野清滝地区の農業基盤整備事業も継続して進めます。
5.チルドレンファーストのさらなる強化
ひと育つ、こが育つ。チルドレンファーストを徹底し、子どもの育ちと学びを支えます。コロナ禍で最も重視したのが、子育て家庭の支援と教育環境の保障でした。乳幼児と保護者の居場所を閉じないこと。経済的に苦しい状況を支えること。教室のデジタル化を早期に実現すること。人と人が物理的に距離を取らなければならないなか、「心と心はつながっているんだよ」と、子どもたちに伝えること。
令和4年度、子どもと子育て家庭をまちとして温かく迎え、サポートしていく取組をさらに進めていきます。妊娠・出産・乳幼児期までの切れ目のない支援を強化し、大きく3つの新たな取組をスタートします。まず、地域全体で「社会の宝」である全ての子どもの誕生をお祝いし、みんなで一人ひとりの子どもと子育て家庭を支える思いを伝える「うまれてきてくれてありがとうBOX~こがたからばこ~」を乳児家庭全戸訪問の際に贈ります。赤ちゃん用品を詰め合わせたセットとともに、母子の健やかな育ちだけでなく古賀産農産物の消費拡大も目的としてコスモス館の商品券を同封します。この着想の原点は、フィンランドの「ベビーボックス」と呼ばれる育児支援パッケージ。子どもが生まれると政府から全ての家庭にプレゼントされ、受け取った保護者は「社会全体から祝福されている」と実感し、親としての自覚もあらためて認識できます。続いて、産後4か月以内の母親を対象としたケア事業に取り組みます。出産直後の心身が不安定になりやすい時期に、産科でレスパイトや育児サポートのためのショートステイ、授乳など育児を学ぶデイサービスを提供します。さらに、生後6か月前後の乳児がいる全ての家庭を対象として、保健師や管理栄養士による保健指導・離乳食相談などの育児相談会を実施します。また、市役所に授乳室を設置します。
保育体制を強化します。保育士の業務負担軽減を図るため、保育に関する計画・記録や保護者との連絡、登降園の管理などの業務をICT化するシステム導入費用を助成します。市内の保育所や認定こども園、幼稚園が合同で実施する就職説明会を支援し、保育士確保を推進します。鹿部保育所で医療的ケア児を受け入れられるよう、看護師や保育士を配置します。
経済的困窮など様々な事情を抱える家庭や子どもの支援を充実します。貧困の連鎖を断つため、子どもの貧困対策のための相談支援員を配置します。本来大人が担うとされているような家事、祖父母、両親、きょうだいなど家族の介護や世話を日常的に行っているヤングケアラーを支援するため、ヘルパー派遣事業を始めます。また、要保護や要支援の児童がいる世帯に対し、家庭児童相談員が接点を持つきっかけとして食料を配布するとともに、児童虐待防止の啓発を強化します。
全ての小・中学校、全ての学年における原則35人以下学級をはじめとした多様な人的配置など教育環境の整備を推進します。学校現場では、全ての児童・生徒に配備したパソコン端末や普通教室等の大型モニターを積極的に活用して授業を進めており、その実効性をさらに高めるため、ICT支援員を配置します。学習支援ソフトについて、令和4年度からは、全ての学年がパソコン端末から活用できるようにし、主体的・対話的で深い学びや基礎学力の向上を図ります。学校施設等を安全・快適に利用できるよう、建物の長寿命化と複合化のための改修工事を計画的に進めます。令和4年度は、古賀北中学校の第2期工事や古賀東中学校の改修に向けた設計を行います。また、衛生環境向上・バリアフリー化のため、トイレの洋式化や「みんなのトイレ」の整備について、古賀東、古賀西、花鶴各小学校は改修に向けた設計を、千鳥小学校、古賀中学校や学校給食センターは改修工事を行います。さらに、全ての小・中学校の理科室、家庭科室、技術室への空調整備に向けた設計を行い、学習環境の向上に取り組みます。令和3年度に県内で初めて、最高時速30キロの区域規制と併せて狭さくなどの速度抑制を促す構造物などを設ける「ゾーン30プラス」を古賀東小学校周辺に整備しました。引き続き通学路の安全対策に取り組んでいきます。地域との連携も重要です。通学合宿など子どもの「生き抜く力」を伸ばす取組を後押しします。併せて、放課後子供教室と学童保育との連携推進や、児童館活動等の充実により、子どもの行き場所・居場所づくりを継続します。
6.誰もが健康で安心して暮らせるまち
令和4年度も、あらゆる立場の人がQOL(Quality Of Life:生活の質)を向上できるよう、医療・介護体制の強化や福祉の充実を図っていきます。
まずなによりも、新型コロナウイルス対策としてワクチン接種を推進します。3回目の接種について、令和3年度中に医療従事者や多くの高齢者の接種を終え、その後の各世代も迅速、着実に進めます。個別接種、集団接種に多大なるご協力をいただいている医療従事者の皆さまに心から感謝申し上げるとともに、今後もしっかりと連携を図っていきます。
超高齢社会化や経済的困窮の拡大などに起因して私たちの地域社会を取り巻く課題は複雑化・多様化しており、それらの解決に資するため、令和3年度にソーシャルワーカーを任用して、どのような相談も断らない「包括的な相談支援体制」を構築しました。また、住み慣れた地域で支え合うことができる地域福祉の推進のため、次期地域福祉計画の策定に向けて、インターネット等を活用した調査を実施します。さらに、中学校区ごとに3か所増設した地域包括支援センターで高齢者のきめ細かな支援を進めていきます。これらを確実に継続していくとともに、次期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画の策定に向けて、高齢者の心身の状態や日常生活の状況、ニーズをつかむための調査を実施します。認知症への理解をさらに広げていくため、新たに中学生を対象としてVR体験もできる認知症フレンドリー講座を始めます。子どもから高齢者まで幅広い世代の健康づくりを推進します。管理栄養士など医療専門職を増員し体制強化を行うとともに、高血圧対策に重点を置き、減塩や適正体重の維持を促せるよう尿中塩分計や体成分分析装置を活用するなど保健事業と介護予防の一体的実施の充実を図ります。
障がいのある人もない人も共に生きていけるインクルーシブな地域社会をめざします。災害時による停電でも命を守り、安心して生活できるよう、在宅で人工呼吸器を使用している障がい者、障がい児、難病患者などが非常用電源を購入する際の助成を開始します。がん患者やがん経験者のアピアランスケアに新たに取り組みます。がん治療に伴う心理的負担を軽減するとともに社会参加を促進し、療養生活の質を向上するため、医療用ウィッグや胸部の補整パッドなどの購入費を助成します。
犯罪等により被害を受けた人が再び平穏な生活ができるよう支援します。
地域公共交通ネットワークの強化に乗り出します。まずは花鶴丘と日吉台をエリアとしてAIオンデマンドバスの運行を開始し、市民の皆さまの移動の特性を踏まえた交通サービスを提供することで公共交通全体の利便性の向上につなげていきます。
インフラの整備も重要です。汚泥再生処理センター海津木苑の建設工事を着実に進めます。また、長年の懸案だったJR千鳥駅東口のアクセス機能を強化するためのロータリー整備に着手し、詳細設計を進めます。西鉄宮地岳線跡地について、中川区と花見南区で道路と遊歩道などを備えた空間を創出するための詳細設計が進んでおり、令和4年度の整備工事の着手をめざします。これまで対話を続けてきた古賀北区などその他の地域についても結論を得て整備につなげていきます。14年に及んだ都市計画道路・浜大塚線の工事がまもなく完了することを受け、次は花見佐谷線の道路拡幅に向けて詳細設計を進めます。上下水道施設の老朽化対策の更新工事を着実に進めます。浸水被害を軽減するため「古賀市雨水総合管理計画」を策定します。上下水道課にセミセルフレジを市として初めて導入し、業務効率化と利便性向上を図ります。古賀市と同音名の自治体である茨城県の古河市との下水道を切り口とした交流・連携事業を行うことで、下水道への理解をさらに広げるとともに、新たな自治体間交流を進めます。
地域防災・減災体制の強化を進めます。新型コロナウイルス感染症とともに、豪雨や台風、地震などによる大規模災害の多発で、近年、危機管理の重要性が増しています。私自身、大規模災害が予見される時、発生した時、トップとしてどのようにマネジメントをすべきか、首長対象のセミナーを積極的に受講し、実際の対応につなげているところです。ただし、公助だけでは限界があり、社会全体で自助と共助の意識を高めていく必要があります。これまでもゲーム型研修プログラム「風水害24」を活用するなど様々な取組を進めてきているところであり、令和4年度からは指定緊急避難場所に関する協定を締結した自主防災組織に対し、緊急避難場所を開設する際に必要な備品等に要する費用を助成します。消防団の報酬を引き上げ、活動中の保険の充実を図り、持続可能なあり方の検討をさらに進めます。在住外国人の増加を踏まえ、防災メールを多言語化し、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、やさしい日本語に対応できるようにします。
ゼロカーボンシティ宣言の実現に向けた取組を進めます。第3次環境基本計画と地球温暖化対策実行計画の見直しに着手します。新たに各地の公民館などで「地域うちエコ診断会」を開催し、温室効果ガス削減に向けた家庭での取組を後押しします。また、限りある資源を守り、環境への負荷が低減された循環型社会を形成するため4Rを推進します。ごみの減量と資源化を計画的に進める第3次ごみ処理基本計画の策定に着手します。新たに始めた環境人材バンク制度を一層活用し、学習活動の支援や市民向け講座を充実させます。人の健康と動物の健康、環境の健全性は一つのものであるという「ワンヘルス」の考えのもと、動物愛護を推進します。令和3年度のクラウドファンディングの寄附金を活用し、地域猫活動をさらに支援し、適正飼養・終生飼養の促進、動物の殺処分ゼロをめざします。
地域のコミュニティにおける人と人のつながりの強さが、私たち一人ひとりの暮らしの安心につながります。新たに「地域づくりサポート制度」を立ち上げ、自治会や校区コミュニティの皆さまが催す会議などの場に市職員や専門のアドバイザーが参加し、様々な地域課題の解決を共に考え、実践していきます。これまでの補助金よりも実際の活動に資することができるよう、「コミュニティ活動補助金」を創設し、自治会やボランティア団体など多様な主体の活動を支援します。市民、事業者、専門家などが地域社会の生活の現場の課題解決を共に考え、新たな仕組みを検討する「リビングラボ」を実践します。
スポーツや文化芸術を地域振興に生かしていきます。社会体育・学校体育施設とリーパスプラザこがの予約システムを改良するとともに、新たにクレジットカード決済を導入し、利便性を向上させます。スポーツ協会や文化協会と連携を強め、イベントや事業の充実を図ります。J1で活躍するアビスパ福岡のフレンドリータウンとして市民の皆さまと共に応援していきます。
7.人権と平和を守り、郷土愛を醸成
人権を重んじ、平和を希求する取組を推進します。
ジェンダー平等の観点から学校や公共施設における生理用品の無償配布を継続します。こうした取組により、女性が社会で生きていくことに対する理解の促進や男女共同参画のさらなる推進につなげていきます。LGBTQなど性的マイノリティの人たちが生きやすい社会をめざしたパートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度を運用する全国の市町村と連携を強化し、制度充実の検討や国家としての当事者の権利保障に向けた国への働きかけも進めます。新型コロナウイルスの感染者や医療従事者への差別や偏見を許さないシトラスリボン運動を継続するとともに、部落差別をはじめあらゆる差別を許さない姿勢を堅持し、人権施策基本指針に基づいた施策を推進していきます。
外国籍市民等を含む市民誰もが安心して、社会の構成員として自分らしく暮らせるよう、国際交流と多文化共生の推進に引き続き先駆けて取り組んでいきます 。分かりやすく生活情報が伝わるよう、やさしい日本語での情報発信を強化するため、既存のウェブ情報を自動でやさしい日本語に変換できる「伝えるウェブ」を導入します。市ホームページもやさしい日本語で対応し、配布する文書などにも広げていきます。多言語翻訳機を常設した相談窓口を設置し、困りごとに迅速に対応できる体制を構築するとともに、外国籍児童の保護者の皆さまが相談しやすいようアウトリーチ型支援として出張相談も実施します。
平和首長会議や日本非核宣言自治体協議会のメンバーとして、核兵器廃絶と世界平和に向けて取り組みます。
名誉市民の中村哲氏の顕彰に向けた具体的な取組を始めます。市民による会議を開催し、顕彰のあり方を考えます。国史跡船原古墳の調査研究と活用を進めるとともに、鹿部山開発に伴う発掘調査から50年を記念する企画展や、「立花宗茂と誾千代」の大河ドラマ招致の機運を高めることもねらい、薦野増時の没後400年のパネル展を実施し、文化財や歴史への関心を高め、ふるさとへの愛着や誇りを醸成します。
8.デジタル化の推進
令和3年9月、デジタル社会形成の司令塔としてデジタル庁が発足しました。誰もがデジタル化の恩恵を受けることができ、世界に遜色ないデジタル社会を実現するため、古賀市としても国や県とスクラムを組み、情報分野における変革を組織全体で強力に推進します。令和4年度からデジタル庁に職員を派遣し、デジタル社会における自治体経営に長期的な視点で取り組みます。
令和3年度に導入したRPA(Robotic Process Automation:定型業務の自動化)については、その適用範囲を広げ、業務効率や生産性の更なる向上を図ります。また、オンライン申請を拡充し、市民の皆さまの利便性向上に努めます。また、議会のペーパーレス化を推進するとともに、サンコスモ古賀やリーパスプラザこがで議会中継を視聴できるよう、環境を整備します。高齢者の皆さまを中心としたデジタルデバイド(スマートフォン等の情報通信技術を利用できる人と利用できない人との間に生じる格差)の解消は重要です。令和3年度に実施したスマホ教室での要望を踏まえ、令和4年度は「スマホおたすけ窓口」を庁舎内に設置するなどの支援策を講じ、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」をめざします。
9.財政運営と令和4年度予算
社会保障関係費等の義務的経費の増加などから財政状況が厳しくなりつつあるなか健全財政を堅持するためには、財政健全化指標等を注視し中期的な財政状況を見通しながら、公共施設等総合管理計画に基づく維持管理コスト抑制の取組や滞納整理の強化、高い収納率の維持、納税しやすい環境の整備等による市税の安定確保を図るとともに企業誘致などによる将来的な税収確保にも取り組む必要があります。
令和4年度の予算編成は、このような財政状況を踏まえるとともに、これから10年間のまちづくりの指針となる第5次総合計画の推進を意識し、重要施策をはじめ、様々な課題への対応を実施するため選択と集中による予算配分を行いました。
これまで述べたまちづくりを推進していくため、令和4年度の一般会計当初予算案は、前年度比10.4%増の過去最大規模となる248億7500万円としています。特別会計については、国民健康保険特別会計を前年度比1.1%増の61億5800万円、後期高齢者医療特別会計を前年度比6.1%増の8億9000万円、介護保険特別会計を前年度比2.8%増の43億7600万円としています。また、公営企業会計については、水道事業会計を前年度比1.6%増の16億9200万円、下水道事業会計を前年度比2.0%増の37億5500万円としています。
これら全ての会計を合わせた令和4年度の予算総額は、前年度比6.8%増の417億4800万円となっています。
10.おわりに
「毎日毎日、朝から晩まで古賀市のことをずっと考えています!」
古賀市に住んでいないけれども、古賀市のまちづくりを真剣に考えてくれている若手の社会人の方々からいただいた言葉です。チルドレンファーストをさらに推し進め、子育て世代に選ばれるまちになるにはどうしていくべきか。中心市街地の古賀駅西口に新たな人の流れを生み出し、古賀駅東口開発の実効性を高めていくためにできることは何か。古賀市の現状を捉えたうえで、歴史と風土を踏まえ、どのようなまちづくりを進めていけば、持続可能性が高まっていくか。
古賀市は令和3年度、九州大学の産学官民連携セミナー「地域政策デザインスクール」に参加しています。九州大学や福岡地域戦略会議などが実行委員会を組織し、開催されているもので、社会人や大学院生が受講料を支払い、グループをつくり、約半年間にわたって市町村に入り込み、フィールドワークなどを通じて新たな社会像を創り上げます。古賀市を選んでくれたグループの皆さまも、市内をきめ細かくめぐり、市民の皆さまと交流し、まちの本質を捉え、持続可能性を高めるための政策を提案してくれました。職員もこの営みを力強くサポートしました。ぜひ市政運営への「実装」を考えていきたい。「毎日毎日、朝から晩まで古賀市のことをずっと考えています!」。冒頭に紹介した言葉は、スクール生の皆さまと交流した際、次々に出てきた言葉です。
私は市長就任以来、まちづくりを進めていくうえで、主権者である市民の皆さまとの対話と交流を最も大切にしてきました。市内全域の地域行事などをきめ細かく回るだけでなく、具体的に予算の見える化を進め、政策課題ごとの対話集会も開催し、小・中学校の給食の時間に子どもたちとの意見交換を行い、市内全域をめぐるタウンミーティングなどを経て第5次総合計画を策定しました。総合計画の基本構想については「子ども版デジタルブック」も作成し、主権者意識を涵養していきます。
こうした営みを継続、強化していくことに加え、令和4年度は市内外の多様な人材との交流をさらに進め、クロスオーバーによる「共創」につなげていきます。既に、古賀駅周辺の開発と本質的再生、薬王寺温泉のインキュベーション施設、古賀グリーンパーク周辺の活性化、チルドレンファースト、ゼロカーボンシティ、国際交流と多文化共生などの様々なプロジェクトで始まっています。さらに、私自身も「活力ある地方を創る首長の会」など全国各地の首長有志の皆さまと共に活動し、政府との連携も強化しています。多くの皆さまがそれぞれの立場で経験と知見を生かす。これらが交差し、「掛け算」されると、新たな価値が創出されます。そして、この機会を広げていくためには、シティプロモーションが重要です。古賀市の魅力はもちろんのこと、地域課題も含めてまちのありのままを知ってもらうこと。これからも情報をどんどん発信していきます。
私の市長1期目の任期もあと10か月となりました。持続可能な未来を切り拓いていくために、残る期間も誠心誠意取り組み、皆さまと共に歩んでまいります。市民の皆さま、そして市議会の皆さまのご理解とご協力、ご支援をここにあらためてお願い申し上げ、令和4年度に臨むにあたっての施政方針といたします。
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なお、施政方針の全文は
こちら にPDFデータを公開しています。
あわせて、当初予算案について分かりやすくまとめた資料も
こちら に公開しています。
◇
福岡県のまん延防止等重点措置が延長されました。みんなで力を合わせて感染拡大を防いでいきましょう。21日朝、私自身が防災行政無線で市民の皆さんに呼びかけました。
なお、市の防災メールやKBC(1ch)のdボタン広報誌、ホームページ(
こちら )でも発信しています。
投稿者:【mayor2010】
2022年02月21日 16時10分
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