私の令和4(2022)年度の施政方針演説に対する8人の議員さんの質疑が本日の古賀市議会本会議で行われました。
新たにまちづくりの重要な手法に位置付けた「クロスオーバーによる共創」がテーマになりました。
古賀市は時代の変化に即応し、まちづくりを進めており、その重要なキーワードとして「クロスオーバー」を掲げています。これからは、政策や施策ごと、所管部署ごとにバラバラに取り組むのではなく、様々な政策や施策、手段を組み合わせる「クロスオーバー」で相乗効果をねらう戦略性がより一層求められていると考えました。
その実践に必要なのが「共創」。市内外の多様な人材が出会い、交流すること、共に歩むことで、それぞれの経験に基づく感性や知見、技術などが交差し、「掛け算」が起き、新たな価値が創出される。私たちの地域社会の未来を拓いていく。
今、まちづくりの様々な場面でこれを強く意識し、取り組みを始めています。
例えば、現在検討を進めているJR古賀駅東口周辺地区整備ガイドライン等策定業務では、古賀駅周辺がより良い空間となるよう、一般的なまちづくりの進め方であるそれぞれの専門家が専門分野ごとに検討を行う手法ではなく、土木景観デザイン・都市計画・建築、それぞれ複数の専門家が一体に議論しながら計画を進めており、今回の「空間デザインワーキングチーム」の監修者からも稀有な例であると高い評価をいただいています。今後はワークショップも予定しており、市民の皆さんの視点も取り入れながら進めていきます。
古賀駅西口の本質的再生の取組では、これまで、地元の事業者さんや住民の皆さん向けのミーティング、古賀竟成館高校の生徒さんたちとのまち歩きイベントとして昨年10月に「ハロウィンガーデン」を開催しました。また、商機能にこだわらない本質的なエリアの再生を図るため、西口エリアの活性化ビジョンを策定し、継続的にそのビジョンを遂行できる「まちづくり団体」が今年2月に設立されています。令和4年度は、まちづくり団体の活動拠点の整備とあわせ、様々な世代や異業種が交流を通じて経済活動を行う「テナントミックス事業」の展開に加え、子どもや高齢者の皆さんなどの地域活動でも利用できる「人が集まる空間」づくりに取り組んでいきます。
薬王寺温泉を生かした新たなビジネス拠点としてインキュベーション施設「快生館」がスタートしました。コロナ禍による働き方の価値観の変容を捉え、サテライトオフィスやコワーキングスペースなどを整備した施設は、九州を中心に各地で地域活性化に取り組む多くの人に注目され、既に2社がサテライトオフィスを設置し、近々にさらに増える見込みです。コワーキングスペースのイベントなどでの活用や企業合宿も行われています。クロスオーバーの拠点として多様な人材の「掛け算」が始まっています。
さらに、多文化共生では、外国籍市民の方々を対象とした「交流型日本語教室」を実施。教室では日本語を学ぶだけでなく、地域の方々との交流を大切にしており、高校生から70歳代まで幅広い年代の方々、多様な経験・見識を持った方々がスタッフとして携わっています。国際交流でも、中学生を対象に世界の国と古賀市をオンラインでつなぐ「世界とつながる3日間」をJICA九州と実施しました。子どもたちの国際感覚の醸成に向けて、一自治体では対応が難しいことでも、世界規模のネットワークを持つJICAと「共創」することで実現できました。
これらの最近始まった数々の事例のように、「クロスオーバーによる共創」をまちづくりに取り入れることで、市内外の多様な人材の交流が生まれ、これまでとは全く異なる切り口で解決策が見つかるなど新しいアイデアを生み出しやすい環境を作り出すことができると考えています。
「ゼロカーボンシティ宣言」の実現に向けた環境政策の推進もテーマになりました。特に、JR古賀駅東口エリアを舞台として、国が少なくとも全国100か所を選定する「脱炭素先行地域」の指定をめざす新たな挑戦に注目が集まっています。これに向けて、申請に必要な計画提案書を作成するため、電力供給量や再生可能エネルギー導入可能量などの調査を実施。令和5年春の採択をめざしており、同年1月下旬の公募に間に合うよう準備を進めます。採択されると、5年間、国から積極的に人材、技術、情報、資金の支援が受けられることになります。
施政方針の冒頭、イギリスの文化思想家、ローマン・クルツナリック氏の著書『グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか』を引用し、短期主義的になってしまう人間の本質を踏まえ、「長期思考」による具体的な行動の必要性を申し上げたことから、「今を生きる市民」の暮らしを支える重要性も提起されました。この国が人口減少や環境破壊による気候変動、さらに新型コロナウイルス感染症によるパンデミックなど大変厳しい状況に置かれている中、社会の短期主義的な思考はますます強まっていると感じており、そうであるからこそ、今を生きる私たちは、この社会の持続可能性を高めるため、長期思考のもと行動しなければなりません。どうしたら「よき祖先」になれるかという視点は、SDGsに共通する理念でもあり、これからの地方自治体の運営において重要であると考えています。そして、もちろん「今を生きる市民」の生活を守ることも行政の重要な責務です。例えば、未知のウイルスと対峙してきたこの2年余りの間、古賀市は市民生活の現場で起きていることを即時的に捉えるとともに、現場で起きているであろうこと、起き得るであろうことに想像力を働かせ、他の自治体に先駆けて速やかに様々な対応策を講じてきました。今後も、長期的な視点を持つと同時に、今直面する課題解決のため、行政として全力を尽くしていきます。
このほかにも、令和4年度から10年間のまちづくりの指針となる第5次総合計画の初年度に向けての決意▽地元に根差したまちづくりのプレイヤーとの連携▽郷土愛・郷土の誇り▽チルドレンファースト▽新たな時代の価値観を捉えた企業誘致と土地利用転換▽公共施設等総合管理計画の第1期アクションプラン▽5~11歳の新型コロナワクチン接種▽デジタル化の推進▽ジェンダー平等▽平和の継承▽森林の活性化と木材利用の促進――などについて、活発にやり取りさせていただきました。いただいたご意見は今後の市政運営に生かしていきます。ありがとうございました。
投稿者:【mayor2010】
2022年02月25日 17時36分
Trackbacks
Trackback URL