○古賀市環境基本条例

平成16年10月5日

条例第17号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 施策の策定等に係る基本方針(第8条)

第3章 施策の総合的かつ計画的推進(第9条―第11条)

第4章 推進施策

第1節 環境への負荷の低減に資する施策(第12条―第19条)

第2節 市民等による環境の保全及び創造に関する活動を促進する施策(第20条―第22条)

第3節 地球環境保全のための施策の推進(第23条)

第5章 推進及び調整体制等(第24条―第29条)

附則

犬鳴の山並みを東に望み、白砂青松の連なる玄界灘を背に起伏に富んだ地勢の中で、私たちのまち古賀は、豊かな自然の恵みの下に、生命をはぐくみ、活力ある今日の社会を築いてきた。

しかしながら、私たちの生活に便利さと物質的な豊かさをもたらした今日の社会経済活動は、様々な資源やエネルギーを大量に消費し、廃棄物を大量に発生させることにより拡大し続けてきた結果、自然の再生能力や浄化能力を超えるような規模となり、地域の環境のみならず、すべての生物の生存基盤である地球規模の環境を脅かすまでに至っている。

もとより、私たちは、健康で文化的な生活を営むために必要とされる良好な環境を享受する権利を有するとともに、健全で恵み豊かな環境を将来の世代に引き継ぐべき責務を荷っている。

私たちは、私たちを取り巻く環境が有限であることを深く認識した上で、日常の生活行動及び社会経済活動が環境へ影響を与えていることを自覚し、資源の消費が抑制され、環境への負荷の少ない循環型社会が構築されるよう、新たな取組を進めなければならない。

私たちは、それぞれの責任と役割の下に、英知を出し、協力・協働して、豊かな環境を保全し、創造していくとともに、人と自然が共生し、持続的に発展することができるのまちを実現するため、ここに、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少、森林の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っていることを踏まえ、市民が、環境に関する情報を共有し、これに伴う市政への参加を通じて、健全で恵み豊かな環境の恵沢を将来の世代へ継承することを目的として行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、人と自然との共生を図ることにより、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、社会経済活動その他の活動による環境への負荷の少ない、持続的に発展することができる社会を構築することを目的として行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、市、市民及び事業者がそれぞれの責務を認識し、公平な役割分担の下に自主的かつ積極的な取組によって、相互に協力・協働して推進されなければならない。

4 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球全体の環境と深くかかわっていること及び市民の健康で文化的な生活を将来にわたり確保する上で重要であることを踏まえ、地域での取組として行われるとともに、広域的に協力・連携して行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、自ら廃棄物の発生の抑制及び適正な処理、資源の循環的な利用並びにエネルギーの有効利用を行うことにより積極的に環境への負荷を低減する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、資源及びエネルギーの消費、廃棄物及び生活排水の排出その他の日常生活における環境への負荷を低減する責務を有する。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴う開発に当たっては、地域の環境特性に応じた適正な土地利用を基本とするとともに、緑地の保全、景観への配慮その他の環境への負荷を低減するために必要な措置を講ずる責務を有する。

3 事業者は、基本理念にのっとり、廃棄物の減量及び再利用その他の廃棄物の適正処理並びに資源及びエネルギーの有効かつ適正な利用を行うとともに、廃棄物の削減に資するような物の製造、販売その他の事業活動を行うことにより環境への負荷を低減するために必要な措置を講ずる責務を有する。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努め、かつ、その保有する環境に関する情報を広く提供するとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(各主体の協働)

第7条 市、市民及び事業者は、基本理念にのっとり、前3条に定めるそれぞれの責務を果たすため、必要に応じ、相互に協力・協働していかなければならない。

第2章 施策の策定等に係る基本方針

(施策の策定等に係る基本方針)

第8条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて適正に保全されること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いが確保されるとともに、地域の緑化の推進、地域の個性を生かした都市景観の形成及び歴史・文化的環境の保全が図られること。

(4) 廃棄物の減量並びに資源及びエネルギーの有効かつ適正な利用により物質の循環が図られること。

第3章 施策の総合的かつ計画的推進

(環境基本計画)

第9条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標

(2) 環境の保全及び創造に関する施策の基本的な方向

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する重要事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民の意見を反映することができるように、必要な措置を講じなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、第24条に定める古賀市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(市の施策の策定等に当たっての配慮)

第10条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合性を図り、環境への負荷が低減されるよう十分に配慮するものとする。

(年次報告)

第11条 市長は、毎年、環境の状況及び市が講じた環境施策の実施状況を明らかにするため、報告書を作成し、これを公表するとともに、これに対する市民の意見を聴くため、必要な措置を講ずるものとする。

第4章 推進施策

第1節 環境への負荷の低減に資する施策

(公害等の防止)

第12条 市は、公害を防止するため、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 市は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障(公害を除く。)を防止するため、指導、助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(公共的施設の整備等)

第13条 市は、緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び汚泥のしゅんせつその他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、下水道、廃棄物の処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 前2項に規定するもののほか、市は、人と自然との豊かな触れ合いの確保に資する公共的施設の適正な整備及び健全な利用を図る事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(自然環境の保全と再生)

第14条 市は、環境保全型農業(持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年法律第110号)第2条に規定する持続性の高い農業生産方式による農業をいう。)の普及、地産地消の促進その他の地域固有の里地里山の豊かな自然環境の保全及び再生に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(開発事業等に係る環境への配慮)

第15条 市は、自然環境を保全することが特に必要な地域において、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行おうとする者が策定する計画について、その計画が環境に適正に配慮されたものとなるように、必要な規制の措置を講ずるものとする。

(環境影響評価の推進)

第16条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、その事業の実施に当たり、あらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第17条 市は、廃棄物の減量、資源の循環的な利用の促進を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、エネルギーの有効利用及び環境への負荷の少ないエネルギーの利用の促進を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用促進)

第18条 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品等の積極的な利用の促進を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

(経済的措置)

第19条 市は、市民又は事業者(以下「市民等」という。)が行う環境への負荷の低減を図るための施設の整備その他の環境の保全及び創造に資する取組又は活動を促進するため、必要があると認めるときは、助成その他の措置を講ずるように努めるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、必要があると認めるときは、市民等に対し適正かつ公平な経済的負担を課することについて調査及び研究を行い、その措置を講ずるものとする。

第2節 市民等による環境の保全及び創造に関する活動を促進する施策

(環境教育等の振興)

第20条 市は、市民等が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、市民等が行う環境の保全及び創造に関する活動の意欲が増進されるようにするため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習(以下「環境教育等」という。)の振興を図るものとする。

2 前項の場合において、市民等に対する環境教育等の振興に当たっては、市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)との協働を図りながら、必要な施策を推進するように努めるものとする。

(民間団体等の自発的な活動の推進)

第21条 市は、民間団体等が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動、エネルギーの有効利用に係る普及活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第22条 市は、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報の収集に努めるとともに、環境教育等の振興並びに民間団体等の自発的な環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

第3節 地球環境保全のための施策の推進

(地球環境保全のための施策の推進)

第23条 市は、国、他の地方公共団体及び民間団体等と連携し、地球温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に資する施策の推進に努めるものとする。

第5章 推進及び調整体制等

(環境審議会)

第24条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、古賀市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議し、答申する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項に関すること。

3 審議会は、環境の保全及び創造に関する基本的事項について市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員15人以内をもって組織する。

5 委員は、識見を有する者、公共的団体等の構成員及び市内に住所を有する者のうちから、市長が委嘱する。

6 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 委員は、再任されることができる。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(民間団体等の施策への参加)

第25条 市は、民間団体等が環境の保全及び創造に関する施策について意見を述べることができるように、必要な措置を講ずるものとする。

(監視体制等の整備)

第26条 市は、公害その他の環境の状況を適切に把握するため、監視、測定等に必要な体制の整備に努めるものとする。

(施策推進の庁内体制の整備)

第27条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、市の機関及び部課相互の緊密な連携並びに調整を図る体制を整備するものとする。

(民間団体等との協力・協働)

第28条 市は、民間団体等との協力・協働により、環境の保全及び創造に関する施策の推進に取り組むため、必要な措置を講ずるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第29条 市は、広域的な取組を必要とする環境の保全及び創造に関する施策については、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(環境基本計画の経過措置)

2 この条例の施行の際既に定められている環境基本計画は、第9条第1項から第5項までの規定に基づき定められたものとみなす。

(古賀市環境審議会条例の廃止)

3 古賀市環境審議会条例(平成14年条例第26号)は、廃止する。

(古賀市環境審議会委員の経過措置)

4 この条例の施行の際現に廃止前の古賀市環境審議会条例の規定に基づき委嘱されている委員は、第24条第5項の規定により委嘱されたものとみなし、その任期は、同条第6項の規定にかかわらず、平成17年3月4日までとする。

古賀市環境基本条例

平成16年10月5日 条例第17号

(平成16年10月5日施行)

体系情報
第9編 生/第9章
沿革情報
平成16年10月5日 条例第17号